いきなりタイトルを短くしてしまいましたが、この本の正式名は、あまりに長い(笑い)。
『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』です。
著者の命名により、短くして、『お金のお守り本』と呼んでいるそうです。
貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください! [ 税理士・大河内薫 ] 価格:1,320円 |
税金や年金の仕組みをきちんと理解できていないままに、働いている若い方向けの本です。
「お金」について、きちんと学んで、貯金ではなく、正しい投資を行い、先々の個人のお金を増やして、守っていく方法について書かれています。
年金や税金の説明から、「つみたてNISA」や「iDeCo」の実際の始め方まで、具体的に書かれています。
類書は多いですが、マンガを使って、わかりやすく説明している本です。それで、とっつきやすく、読みやすいのですが、一方で、中身について必要なことは、詳しく書かれています。学習書であり、実用書です。
著者の大河内薫氏(以下「大河内先生」)は、税理士で、日本の「お金」の教育をもっと、もっと広めようとされている方です。YouTubeにも30万人以上の登録者が居て、広く情報発信をなさっています。
共著者の若林杏樹氏(以下「あんじゅ先生」)はマンガ家であり、この本のテーマの「お金の守り」方について、大河内先生の教えの説明を、楽しい「掛け合い」で、見せて下さっています。
この「書評」を書いている、わたしは、今、65歳です。なので、この本に書かれた内容については、ある程度は身につけています。ですが、改めて、税金とか年金の、全体の流れを確認したいと考えて、この本を手にしました。期待どおり、無事、学び直せました。
わたしも、この本の中で、大河内先生がススメているような方法で、お金を増やしてきました。もしも、サラリーマンだった、せめて、わたしの50歳の時に、この本を読んでいたら、もっと試行錯誤なしに、効率的にお金を増やすことができたと思います。
ですから、現在30歳前後の(わたしから見ればとても)若い方が、この本の内容を身につけることができれば、ホントに、とんでもなく役に立つはずです。特にフリーランスの方には、必須の知識でしょう。
税理士のプロの書かれた本について、わたしが「書評」を書くのは、実におこがましいことなのですが、この本のすばらしさを書き表したいというのが、正直なところです。
【書評】貯金すらまともにできていませんが/大河内薫・若林杏樹著
『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』が、本当の本のタイトルです。
この本は、マンガ家のあんじゅ先生が、税理士の大河内先生に、お金の守り方、お金の増やし方について、順を追って、あれこれと教えてもらう形で、話が進んで行きます。
「お金の大学」とか「お金の超基本」とか、お金について書かれた本は、本当に多いと思います。積んでおいて、必要な時に思い出して読むという使い方ですね。でも、この本は、気楽に読み始めることができるので、通して、全体を読んでみたくなるような感じです。二、三日間で時間を作れば、軽く、全部を読むことができるでしょう。そうして、全体像を理解しておくのがおススメの本です。
この本に書かれている内容
- 今の日本で、「貯金」ではお金は増えない、守れない。投資が必要
- まずは税金と年金、社会保険の仕組みを理解すること
- あくまで「余剰資金」で、貯金するように毎月のつみたて投資をする
- 「投資信託」という株式の詰め合わせパック商品がある
- 経済指数連動の「インデックス型」投資信託につみたて投資すること
- 長い期間で、全世界や米国全体を選べば、投資リターンが期待できる
- でも、投資は自分で理解して、根拠を持っておこなうのが大事!
- ネット証券で証券口座を開くことから始めよう
- 「iDeCo」と「つみたてNISA」なら投資利益に税金がかからない
- iDeCoは、さらには投資段階でも節税に使える
- つみたてNISAの実際のやり方
- iDeCoの実際のやり方、つみたてNISAとの違い、確認すること
- 投資詐欺には気をつける。楽な儲け話はあり得ない!
- FXや仮想通貨にも、勉強なしの初心者は手を出さないこと
この本が優れているところ
- あんじゅ先生の、ほほ笑ましいタッチのマンガなので読み進めやすい
- でも、詳しい中身についても、キッチリ書いてある
- マンガの途中に中身の説明が挟まれているので理解がとぎれない
- 大河内先生の補足の詳しい説明は、分けて書かれている
- 7つの章の終わりの「まとめ」と「お金を守るポイント」で頭に残る
- ネット証券の手続きなど、実際の画面を使った説明付き
実際の内容については、本書を手にとって勉強していただくほかはありません。
わたしは、今までにも、マンガを使った本を読んだ経験があります。ですが、この本は、ちょっと違っていて、マンガは楽しかったのですが、しっかり本を読んだ感じです。
是非、手にとって、まず、全体を読んでいただくのが良いと思います。その上で、実際に、お金を動かしたい時に、必要な部分をまた読み返したら良いのですから。
貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください! [ 税理士・大河内薫 ] 価格:1,320円 |
『貯金すらまともにできていませんが』【書評】を越えた感想
大河内先生は、「日本のお金の教育を変えること」で、日本人がもっとお金に強くなれば、自分自身や自分の大切な人の人生を守ることにつながるし、ひいては、日本の経済が復活することにも役立つとお考えです。
「教育」というと、この本が対象にしている読者である、あんじゅ先生のような、若い世代の働く方であったり、中学生や高校生であったりだと思います。若いうちに学ぶことができれば、大人になって、十分な時間をかけて、お金を育てることができます。
しかしながら、我が身を振り返る時、情けないことですが、この本で説明されている内容について、自分で調べて、実践を始めたのは、ほんの7、8年前、50歳を軽く越えてしまってからのことです。
サラリーマンであれば、退職後の心配、老後のお金の心配とか、年金の支給が視野に入ってから、はじめて、いろいろなことが心配になるという流れがあります。
税金については、源泉徴収が災いして、確定申告のチャンスは、なかなかやって来ません。また、年金にしても、自動的に支払っているので、アクシデントがない限りは、何も気づかないのです。
わたしの場合は、NISAの制度ができて活用を始めて、今に至ります。その頃に、投資信託への投資を始めました。iDeCoは(正確には、その企業版のDC制度ですが)、程なく60歳になったので、よく運用を考えないうちに終わってしまいました。
現在は、NISAも、iDeCoも、ずいぶんとポピュラーになっていますので、わたしの世代のようなことにはならないと思います。また、「ふるさと納税」をガッツリやると、確定申告の手続きが身近になります。(「住宅ローン減税」や「医療費控除」もありますね。)
2023年度の税制改正に向けて、NISAの非課税期間について、現状の上限を撤廃する検討がなされており、制度強化(メリットの増大)に向かうのでは?との報道もありました。
ですが、いくら政府が、政策として考えて、制度としての改善、拡充はあっても、実際に勉強を進める場が少ないことは、以前と変わらないものと思います。
また、それ以前に、主人公である日本に住む、若いみなさんから、50歳になったサラリーマンまで、自分の「お金を守」りたいとの強い動機を持つことが大切だと思います。
『貯金すらまともにできていませんが』がおススメです
『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』
今、働いている20歳代、30歳代、40歳代、50歳代を通じて、お金を守る、お金を増やすことについて、今いち自信のない方に、この本を強くおススメいたします。
「二階建ての年金」と言われてもピンとこない方、「NISA」や「iDeCo」を始めていない方も同様です。
サラリーマンであったわたしは、残念ながら、50歳を越えてから、定年退職になる段階になって、やっと「NISA」から年金までを通して学びました。老後のお金を守る必要に気づいたからでした。今、その準備は果たされていると思っています。
わたしが理解している内容と準備は、この本に全て書かれていました。当然ながら、お釣りの方が大きかったですが(笑い)。
「お金のお守り本」になって欲しいとの大河内先生の願いは、この本の中に詰まっています。あんじゅ先生の楽しいマンガからの微笑みも付いてきて、ホント、親しみ易い本に仕上がっています。強くおススメできる本です。多くの皆さんからのお願いでもあるはずです。
『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』
貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください! [ 税理士・大河内薫 ] 価格:1,320円 |