藤巻健史氏の新刊を拝読しました。たいへん恐れ多いのですが、「書評」をまとめました。もちろん、多くの一般人と同様に、金融リテラシーに欠けるわたしには、いささか荷が重いチャレンジとなっています。
価格:1,430円 |
この本で取り上げられている内容は、多くの日本人にとって、自分自身の、なけなしの、たいせつな資産を守る観点から、死活問題であるはずです。
皆さんが、ご自身で、資産形成を考えるための材料の一つになれば、と考えました。
わたしは、2013年頃から、「投資信託」を買ったり、「外貨預金」をしてきました。2020年からは「仮想通貨」の口座を開いて、ビットコイン(BTC)も買いました。余談ながら、イーサ(ETH)も買っています。こちらは、NFTの購入が主な目的です。
そのわたしが、「外貨預金」や(主には「MMF」という、外貨建ての投資信託)、ビットコイン(BTC)を買った背景には、藤巻健史氏の過去の著作の教えがありました。
そういう経緯がありますので、今回の、藤巻氏の新著の内容は、それなりに(ですが)理解できている部分はあると自負しております。
また、投資が自己責任による自身の判断であることも、よく自覚しております。
ちなみに、わたしの場合、「外貨預金」も「ビットコイン」も、今までの資産形成では、たいしたプラスにはなっておりませんでした。しかし、いよいよ!真価を発揮する時が来た!と思っています。
1.【書評】『Xデイ到来 資産はこう守れ!』藤巻健史著
1ドル140円代、24年ぶり! 昨日の(9月3日)朝刊に踊る見出しでした。
まさに、この時にふさわしい、藤巻健史氏の新刊を読み終えました。
8月5日が「第一刷」になっている本ですが、実際には、6月までには書き終えられていると思います。それから、書かれた内容どおりに、世の中が流れていることになります。
この本の内容の全部を、わたしも含めて、一般人が、すべてを理解できるとは思いません。とは言え、藤巻氏の新刊を読んで、流れだけを追うだけでもかまいません。今の日本に当てはめてみるのです。そして、自分なりに、考えてみることをオススメします。
わたしの理解する、著者の書かれている「あらすじ」は、以下の感じだと思います。
- 世界で進む「インフレ」は、新コロナ禍以降の、通貨の「刷りすぎ」が主要因
- 「刷りすぎ」た通貨を回収しない限りは、「インフレ」は収まらない
- 「インフレ」退治に、各国は金利を上げるし、通貨回収の特別な行動に出る
- 日本の場合は、「アベノミクス」以降、桁違いに、通貨を「刷りすぎ」ている
- 金利を上げると、通貨を「刷った」分、国債を買った日銀が、大困りする
- 日銀の国債増に見合う預金は5年で100倍以上膨れた。回収は相当に難しい
- 「インフレ」の進行を抑えようにも、現状、有効な対策がほとんど取れない
- 現状を変更したら国債の価値が失われ、現状の先では国債を返せないだろう
- 円の価値が猛烈に下げ止まらなくなる『Xデイ』を迎える可能性が高まった
- 『Xデイ』に個人が財産を守るには、「米ドル資産」を買って備えておくこと
- 「ビットコイン」を少し買っておくのも、有力な備えになり得るかもしれない
以上、正直いって、理解を尽くせてはいません。ですが、あらすじとして、今日の日本の財政の現状に、大きなリスクがあることは確からしいと考えています。
2013年の「アベノミクス」の発動により、上述の内容で、いわゆる「異次元の金融緩和」が実施され、継続されてきました。金利の低下とともに、貨幣供給の増大となりました。
藤巻氏の主張は、以降、一貫していたと思います。
私が、いく冊かの前著を拝読して、私の金融資産を、米ドルに振り向け始めたのも、2015年前後だったと記憶しています。
上述したような『Xデイ』は、実際には、いまだに到来しておりません。従い、藤巻氏は「狼少年?」状態ではあります。が、それは、単に結果に過ぎない、そうなってもおかしくはなかったと受け止めております。
今回の新刊は、いよいよ『Xデイ』の到来の可能性が高まっているという藤巻氏の警告なのですが、私から見ても、現状は今までとは違うと思うのです。
「かつて」から変わった、本日の、日本の環境の特殊性は、2020年以降の新コロナ禍によって、日本のみならず、米国や欧州諸国で、金融緩和(通貨の供給)が行われたことだと思います。
金融緩和によって、米国をはじめとする各国の経済が、物価上昇が進む、インフレ局面に入ってしまったことが以前との相違ではないでしょうか?(物価上昇には、材料、半導体不足によるコストアップや、ロシアのウクライナ侵攻に始まる供給制約による影響もあるのでしょうが。)
特に、米国は、大きな規模で「金融緩和」(通貨の供給)を行なって、経済を支える施策を取りました。その分、現在、物価上昇、インフレの現象も大きく出ています。
これに対して、米国FRB(連邦準備制度理事会)は、インフレを抑え込むために、金融引き締めへ向かうように、金利引き上げを強力に実行しています。先日の、米国での経済政策シンポジウム「ジャクソンホール会議」にて、FRBパウエル議長は、来年へ向けての利上げ継続(金融引き締め)への、きわめて強い意思を示しました。
こうした米国FRBのインフレ退治への強い取り組みは、日米の金利差をますます拡大させます。従い、円安が進行します。日本は、金利を上げることができませんから。
そうすると、輸入品の価格が上がりますから、日本のますますの物価上昇の要因です。
反面で、輸出面では売り上げが増えますが、長い円高時代に、部品の海外調達を進めてきましたので、差し引きで、円安のメリットは、さほど大きいものではないはずです。
そもそも、2013年の「アベノミクス」の発動により、いわゆる「異次元の金融緩和」が実施されたのは、デフレ脱却のためでした。物価上昇の目標まで定めて、異常なほどの金融緩和を、ずっと継続してきました。しかし、安倍政権の下、8年をかけても、目標の物価上昇には到達できませんでした。
それが、2022年になって、対前年物価はプラスに転じ、6月時点で、対前年比+2%となったとのことです。今までに、どうしても動かなかったものが動いている!今後(今度こそは)、今までとは違う推移となってもおかしくはありません。
藤巻健史氏の『Xデイ到来 資産はこう守れ!』は、簡単に理解できる本ではありません。ですが、あらすじだけでも努力して、追ってみることをオススメしたいと思います。
現状の日本を理解して、自らの資産を守ることに役立てることができると思うのです。
価格:1,430円 |
2.『Xデイ到来 資産はこう守れ!』【書評】越えの感想
藤巻健史氏のプロフィールについては、ご存知ない方のために、実際の本から、下段にコピペいたします。
金融分野の専門家であり、実務家の方です。大学でも講義を持っておられた方です。近年には、政治家の経験もおありです。
わたしの素朴に感じるな不思議さは、藤巻氏が述べられているような議論とか、切迫感が、今、日本で、大きな情報となっていないような気がすることです。
政府や日銀、それをサポートしてこられた学者の方々はともかく、毎日のマスコミの論調にも、このような趣旨のことは、強く述べられていません。
今までもそうでした。「異次元の金融緩和」は、日本では効かないから、やめた方が良いという強い主張は、わたしが読んだ限りでは、大前研一氏の著書や、浜矩子氏の著書の中で出会ったのみでした。(狭い範囲と言えばそうですが。)
よほど、マイナーな視点に基づく、個性的な論理展開だからなのでしょうか?わたしにはそうは感じられませんでした。
素人なりに考えるに、「異次元緩和」をサポートした「MMT理論」の方が、よほど信じられませんでした。
「MMT理論」とは、政府が、いくら自国の国債を発行しても(中央銀行が貨幣を刷りまくっても)、そういう財政政策の強化からは、何ら問題は起こらない!という考え方のようです。実際には、それなりの前提や論理展開があるものと思います。ですが、どう考えても、そんなことには、なりそうもありません。
政府と日銀をいっしょにして、自分が自分に借金をしているだけだから、その借金は自分の首を締めることはない、という理屈にはならないように思うのです。
<著者プロフィール>
藤巻健史(ふじまき・たけし)氏
1950年東京都生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。1980年、社費留学で 米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBAを取得。帰国後、三井信託銀行ロ ンドン支店勤務を経て、1985年に米銀のモルガン銀行に転職。 同行で資金為替部長、東京支 店長兼在日代表などを歴任し、 東京市場屈指のディーラーとして世界に名を轟かせ、JPモ ルガンの会長から「伝説のディーラー」と称された。2000年にモルガン銀行を退職後、世界的 投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めたほか、一橋大学経済学部で13年間、 早稲田大学大学院商学研究科で6年間、半年の講座を受け持つ。2013年から2019年までは参議院議員を務めた。2020年に旭日中綬章を受章。 日本金融学会所属。 現在(株)フジマキ・ジャパ ン代表取締役。 東洋学園大学理事。
3.わたしの学びと実践について
最初に書いたように、わたしは、2015年前後から、藤巻健史氏の著作から学んできました。それが腑に落ちたので、実践を重ねてきました。
結果として、わたしの(我が家のなけなしの)「定年後」金融資産は、米国ドル資産(MMFと預金) 、ビットコインで、しっかり守られております。
ですから、もしも『Xデイ到来』となっても、わたしは(我が家は)大丈夫です。
価格:1,430円 |